ABOUT US 私たちについて

Section 01 日本山岳歩道協会とは What is the Japan Trail Alliance ?

登山道をどのように維持管理するべきなのか
それが今大きな社会課題として浮かび上がっています。

日本山岳歩道協会は、各地で登山道の維持管理に関する活動に
取り組む団体及びアウトドア関連企業が連携し、
持続可能な環境保全のあり方を提案することを
目的とした団体です。

「登山道」は何のためにあるのか

「道」を通して私たちは様々な世界との出会いを体験します。美しい景色、見知らぬ人々、異なる文化、大地の記憶、あらゆる可能性を結びつけるものが道といっても過言ではありません。
登山道は、山や高原や渓谷に私たちを誘う道です。

山には、アクセスが難しいからこそ人間社会が失ってきた厳しく、繊細な、世界の原風景に近い自然環境が残り、それゆえに私たちに多くの学びや体験をもたらす存在だということができます。

しかし、生態系や景観美が繊細だからこそ、利用の負荷が集中する登山道によって環境が壊されてしまうという事態が、各地で起こっています。

なぜ道の荒廃が進むのか

集中豪雨やオーバユースなどによる加速度的な土壌侵食が進行する中、整備する人員がおらず放置される登山道がある一方、自然そのものの価値を顧みず「人が快適に通行できれば良い」という誤った認識から過剰な整備を行ってしまい、返って景観や生態系を壊してしまう事例も少なくありません。
こうした登山道を巡る混乱は、私たちの社会が自然環境の本質的な価値を充分に議論し、共有することを怠ってきてしまった結果だということができます。

Section 02 歴史と現状 History and Current Status

日本は600万人といわれる登山人口を誇りながらも、
山岳地の国立公園(登山道)を持続可能な形で
維持管理するシステムが確立していません。
そこにはどういった背景があるのでしょうか。

国立公園は、近代化によって急速に失われる自然環境(生活環境)を守ろうと、市民たちが声を上げたことをきっかけとして、社会が「自然」の重要性を忘れないようにするための学びとレクリエーションの場として19世紀の欧米で生まれました。

その流れを取り入れて成立したのが日本の国立公園ですが、近代化を急いだ日本では自然環境に関する世論が弱く、「保護と利用」の均衡を保つべきバランスが消費的な観光利用に偏った形で発展してきました。

結果として、日本では類稀な自然環境を有しながらも国立公園の自然保護に資する予算や人材、実践的な制度などが充分に備わらず、現場の管理体制の大部分を地域山岳会や住民、山小屋などの民間団体及び基礎自治体などの「自助」に頼る形が取られてきたのです。
しかし、近年は山岳会の高齢化、山小屋の経営基盤の不安定化、地方行政の窮迫、コロナ禍などにより、その構図が急激に限界をきたしています。
また、このような経緯のため生態系や景観に調和した登山道整備に関する体系的な技術や価値観が確立しておらず、不用意な工事が環境を壊してしまうことにもつながるのです。

国立公園の管理体制ー国

予算
(年間)
正規
職員数
面積 来訪者数
(年間)
経済効果
(年間)
全国の
国立公園予算
(年間)
全国の
職員数
全国の
国立公園数
アメリカ※1
イエローストーン国立公園
(NPS)
90億円 330人 8,991k㎡ 400万人 380億円 2,600億円 20,000人 59
日本
中部山岳国立公園
(環境省)
非公表 10人 1,743k㎡ 880万人 統計なし 83億円※3 300人 34
イングランド※2
ピークディストリクト国立公園
(NPA)
20億円 280人 1,438k㎡ 870万人 770億円 110億円 1,100人 10
  1. アメリカは営造物公園といっって土地の所有を含む一元的な管理体制のため警察権や社会資本整備など包括する業務が巨大である。
  2. イギリス本土ではなくイングランド内の国立公園
  3. 自然公園の整備 <出展>平成27年度環境省予算案事項別表、National Park Service(2015年)、Valuing England’s National Park(2011年)

国立公園の管理体制比較

1,000k㎡あたりの職員数
(単位:人)

  • 日本
    中部山岳国立公園
    (環境省)
    6
  • アメリカ
    イエローストーン
    国立公園
    37
  • イングランド
    ピークディストリクト
    国立公園
    197

日本は、登山道を保全・管理する
人材が圧倒的に不足している

国立公園ひとつあたりの平均予算
(単位:億円)

国立公園ひとつあたりの平均職員数
(単位:人)

「共助」からの再出発

技術や価値観が確立していない上に、自助が機能せず、公助も充分ではないとすると、今必要なのは「共助」と学び合いです。
今、各地で民間団体、登山者、地元住民、自治体、企業などがさまざまな形で連携することによって、前向きな変化を起こし始めています。
しかし同時に、地域ごとの取り組みは、それぞれに前提となる自然環境やステークホルダーの構成、技術的、経済的な背景などが異なるため一定の尺度で評価することが難しく、また地域に根ざした活動ゆえに広く社会に伝わりづらいという課題も浮上しています。

それらの取り組みを点から面へと繋げていくことで、より多くの人たちが当事者意識をもってこの課題に向き合い、普遍的な環境保全の意識を醸成していくことが求められています。

Section 03 人が来るほどに美しくなる山 A Mountain that becomes more beautiful the more you use it

利用が荒廃をもたらすのではなく、
「人が来るほどに美しくなる」
山岳自然公園のあり方は
どのようにすれば実現するでしょうか。

「登山道」は何のためにあるのか

日本山岳歩道協会では、各地の団体が連携し、共通の大きな課題意識と個別のケーススタディとの両面から登山道に関する課題を俯瞰的に捉え、技術や制度、人材育成などの多様な視点を交えながら、生態系に寄り添った持続可能な環境保全のあり方を提案します。
また、社会に向けてひらけた情報発信や議論の展開、多様な人々の相互通行的な体験や学びの機会の創出をとおして「人が来るほどに美しくなる山」のビジョンを普及して行きます。
私たちの活動が、環境危機や資源問題などに揺れる現代において、社会と自然環境が調和する豊かな価値観を育めるよう、歩みを進めたいと思います。


ACTIVITY 活動紹介

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