「誰かがやる」のではなく、みんなで山の環境を守っていく世の中にしたい。
保全活動は、実際の整備作業だけではありません。関心はあるけれど、きっかけや機会がないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。北杜山守隊は”山との新しい関わり方”を提案しています。活動に関わることで、その山はその人の心の山、「ホームマウンテン」となります。活動の意味を周囲の人に伝える、補修したところが気になって山を訪れる、家族や友人を連れて行く、という連鎖も生まれます。こんな風に「当事者」を増やし、「誰かがやる」のではなく、みんなで環境を守る世の中にしたいと考えています。
ツーリズムとしての保全活動
登山道保全ツアーは、令和4年度観光庁「サステナブルな観光コンテンツ強化事業」の一つに採択されました。北杜山守隊は、2022年11月19日~20日、1泊2日のモニターツアーを実施し、保全活動に関心を持ってくださった多くの方にご応募・ご参加頂きました。「保全活動にお金を取るの?」という声がまだまだ多いのが実態ですが、課題や保全活動を持続可能なものとするために何が必要か? という思いを参加者の皆さんと共感・共有できたことに、喜びと手応えを感じています。2023年度は本格的にツアーを実施予定です。
登山者に必要な意識・行動変容を考える
登山道保全イベントやツアーで最も力を入れているのは、「なぜ登山道が崩れていくのか」の説明です。実際の登山道を観察しながら、自然や人間の特性から「どういう道を作れば自然は守られるのか」や、登山者に必要な意識・行動変容についてみんなで考えます。水の流れ、植物の特性、地形・地質を知り、山での歩き方や過ごし方を変えることも保全活動です。この素晴らしい日本の山岳自然環境を保全し、次世代に伝えていくためには、一人ひとりの意識変容と行動変容が不可欠なのです。
目指すのは「どこを直したのかわからない」道
北杜山守隊が取り入れているのは「近自然工法」。自然界の構造を理解して施工し、生態系を復元させることを目指しています。山中にある倒木、枝、枯れ葉、流れ出た土砂などを集めて道を作る。力がなくても、体力がなくても、誰でも楽しく作業が進む、まさに自然のアクティビティ。できあがった道は、周囲に馴染み「どこを直したのかわからない」と言われるのが最高の褒め言葉です。